父の病

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大学を卒業した私は、いったん故郷へ帰ることになった。父の体調がよくないという知らせが届いていたのだ。父は腎臓を病んでおり、もう長くないかもしれないと、家の者たちは口々に言った。私は東京の暮らしと先生のことを心に残したまま、ふるさとの家へと戻った。 田舎の家には、都会とはまるでちがう時間が流れていた。畑が広がり、季節がゆっくりと移ろい、人々は土とともに生きていた。父は床に伏せがちだったが、私が卒業して帰ってきたことを心から喜んだ。「これで一安心だ」と、父は何度もそう言った。母もまた、私の顔を見て涙ぐんだ。 けれど、私の心はどこか遠くにあった。家族の温かさに包まれながらも、私はしきりに東京を、先生を思った。父の病は、よくなったり悪くなったりを繰り返した。私はその間、何をするでもなく、ただ家に留まりつづけた。卒業したのだから就職すべきだという話も出たが、私はなかなか踏み出せずにいた。 あるとき、私は先生に手紙を書いた。就職のことで力に

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父の病 — こころ · ARWY