客たち

Arwy Official

苦沙弥先生の家には、ひまさえあれば、奇妙な客たちが集まってくる。彼らは、先生の書斎に陣取っては、お茶を飲み、菓子を食べ、そして、何時間でも、とりとめのない議論をたたかわせるのだ。吾輩は、そのそばで丸くなって、彼らの話に聞き耳を立てるのを、何よりの楽しみにしている。 なかでも、いちばんよく来るのが、迷亭という男である。この迷亭は、美学者だと自称しているが、吾輩の見るところ、何の役にも立たない、ただのおしゃべりである。けれど、その話術は、まことに見事なもので、息をするように、平然と大ぼらを吹く。しかも、それがいかにももっともらしく聞こえるのだから、たいしたものだ。 迷亭は、誰にも真似のできない、でたらめを次々と口にする。架空の人物の話、ありもしない事件の話、いいかげんな西洋の故事来歴。それを、聞いている者たちは、すっかり信じこんでしまう。先生でさえ、何度もだまされては、あとで「またやられた」と苦い顔をする。それでも、迷亭が来ると、不

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