こころ

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先生の手紙は、最後の数ページにさしかかっていた。私の胸は、はげしく波打っていた。Kの死のあと、先生がどのように生きてきたのか——その答えが、そこに記されていたのである。 「Kが死んでから」と、先生は書いていた。「私はずっと、Kの影とともに生きてきました。妻を愛していながら、私はその幸福を心から味わうことができませんでした。なぜなら、この幸福は、友を犠牲にして手に入れたものだったからです」。 先生は、毎月雑司ヶ谷の墓地へ通っていた。あの「友達の墓」とは、Kの墓だったのだ。先生は、月に一度、ひとりでKの前に立ち、声に出すことのない懺悔を続けてきた。それは、二十年あまりも続いた、長い長い贖罪の時間だった。 先生は奥さんに、Kのことを最後まで打ち明けなかった。「妻には、きれいな記憶のままでいてほしかったのです」と先生は書いていた。「私の罪を、彼女にまで背負わせたくはなかった。それが、私にできるせめてもの愛し方でした」。先生の孤独の正体が

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