先生との出会い
Arwy Official
私が「先生」と知り合ったのは、まだ学生だったころの、ある夏の海辺だった。友人に誘われて鎌倉の海水浴場へ来ていた私は、毎日のように砂浜に出ては、青く広がる海をぼんやりと眺めて過ごしていた。友人が急に故郷へ帰ってしまってからは、ひとりきりの暇な日々が続いた。 そんなある日、私は群衆のなかにひときわ目を引く一人の男を見つけた。彼は西洋人の連れと一緒にいて、その姿には他の海水浴客とはちがう落ち着きがあった。なぜだか私の目は、その人から離れなくなった。翌日も、その次の日も、私は無意識のうちに彼の姿を探していた。理由はうまく言えない。ただ、彼のまとう静かな空気に、私はどうしようもなくひかれていったのだった。 ある日のこと、海から上がろうとした先生が眼鏡を砂の上に置き忘れたのを、私はたまたま見つけた。私はそれを拾って彼に手渡した。それがきっかけで、私たちは少しずつ言葉を交わすようになった。彼は私を特別に歓迎するでもなく、かといって冷たく突き放…