町の子どもたち

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吉原の大門をくぐらなくても、その華やぎの匂いは、すぐそばの大音寺前という町にまで流れてくる。昼は静かなこの町も、夜になれば、まばゆい灯りと三味線の音にいろどられる遊郭の気配を背に負って、どこか落ち着かない賑わいを見せていた。 そんな町に暮らす子どもたちは、大人の世界の華やかさと寂しさを、知らず知らずのうちに肌で感じながら育っていた。彼らにとって、遊郭はべつだん特別なものではなかった。姉や母がそこで働く子も多く、町そのものが、その大きな世界の一部だったのである。 子どもたちの中心には、いつも美登利という少女がいた。年は十四ほど、目もとの涼しい、はっとするほど美しい娘だった。気が強く、はきはきとしていて、男の子たちにも一歩も引かない。手元には不思議とお金があり、仲間に飴を買ってやったり、おもちゃを分けてやったりして、みなから慕われていた。 美登利の姉は、吉原で名を知られた遊女だった。そのおかげで、美登利の家には何不自由のない暮らしが

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町の子どもたち — たけくらべ · ARWY